人事労務FAQ
当社には、営業の社員がおり会社にほとんどおらず労働時間の算把握が難しいのですがいい方法を教えてください。
- 【ポイント】
- 労働時間の算定が困難な事業場外労働については、一定の条件に該当すれば「事業場外労働のみなし労働時間制」を採用することができ、実際の労働時間にかかわらず定められた一定の労働時間労働したものとみなすことができます。
- 【説明】
- 外勤営業従事者のような外出先での労働については、実際にどれくらい労働したかわからない場合がありますが、「事業場外労働のみなし労働時間制」を採用することによって一定の労働時間労働したものとみなすことができます。ただし、
- 事業場外で業務をしているが携帯電話等により随時使用者の指示を受けながら労働している場合
- 何人かのグループで事業外労働に従事し、そのメンバーの中に労働時間を管理する人がいる場合
- 事業場において、訪問先、帰社時間等、当日の業務の具体的指示を受けて、その後事業場外で指示とおりに業務をしたと事業場に戻る場合
- などは使用者の具体的な指揮監督が及び労働時間の算定が可能となり、みなし労働時間制は採用できませんので、自社の実態に合わせて適用できるのか十分に検討する必要があります。
事業場外の労働時間制を採用した場合、原則として所定労働時間労働したものとみなされ、労働時間の一部を事業場内で勤務し、他の一部を事業場外で勤務した場合は、事業場内の労働時間を含めて所定労働時間労働したものとみなされます。しかし、その業務をするためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は労使協定を締結することによって労使協定で定めた時間を労働したものとみなすことができます。たとえば、事業場外での業務に通常の状態で客観的に必要とされる時間が6時間であれば、事業場内で労働した時間が 3時間である日は、9時間労働したこととみなされます。
また、労使協定は、協定で定める時間が法定労働時間( 8時間)を超える場合には労働基準監督署への届出が必要です。
事業場外みなし労働時間制を採用した場合でも、「休憩」「深夜業」「休日」に関する規定は該当しますので、休憩や休日を与えなかったり、休日労働や深夜業をした際に割増賃金を支払わなかったりすることはできません。