人事労務FAQ
年俸制で賃金を支払っている従業員に対し、残業代を支払う必要がありますか?
- 【ポイント】
- 残業代(時間外割増賃金)の支払いが必要です。
- 【説明】
- 年俸制を適用している従業員が時間外労働をした場合には、月給や日給、そして時給で賃金を支払っている従業員同様に時間外手当を支払う必要があります。それでは何のために年俸制を採用したのか分からないとのご意見を頂戴するケースもあります。
そもそも年俸制は、従業員の成果をより賃金に反映していこうとの会社の意向や、今後の働きへの期待料も含んでいるから高く設定しているのに、時間外手当をさらに支払うのは制度の目的からもズレているのではないかとのご意見です。確かに時間外手当という点では、労働基準法上、他の賃金形態となんら変わるものではありません。
そこで、年俸制を設ける際には、見込まれる残業代を年俸制に組み込んで設計されてはいかがでしょうか。つまり、みなし残業代として定額の時間外手当を支払っていくのです。成果を賃金に反映する制度趣旨はそのままに、法的根拠も兼ね備え、従業員にとっても可処分所得を削ることなく運営でき明確な手段ではないでしょうか。
但し、すでに年俸制を採用されている場合には、みなし残業代のために固定的賃金分が削減され、不利益変更になる可能性があるので注意が必要です。