人事労務FAQ
半年ほど前に退社した社員から在職中の残業代の未払い分を請求されました。この場合、支払わなければいけませんか?
- 【ポイント】
- 労基法で定める賃金は、支払日から3年までの期間であれば労働者は会社に対して請求できます。
- 【説明】
- 民法改正に伴い、労基法の賃金請求権の時効について、5年になり、当分の間、3年間となっています。
したがって、在職中でなくても、賃金の支払日から3年経っていないものについて労働者から賃金の請求があった場合は、その請求内容が妥当であれば支払わなければいけません。ただし、法施行前の2020年4月1日前に支払日が確定していたものについては、従来の2年が適用されます。
具体的には、
労基法第115条により、
第115条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
と定められており、具体的には下表のとおりとなります。
■賃金請求権(改正部分):5年
金品の返還(労基法第23条、賃金の請求に限る)
賃金の支払(労基法第24条)
非常時払(労基法第25条)
休業手当(労基法第26条)
出来高払の保障給(労基法第27条)
時間外・休日労働党に対する割増賃金(労基法第37条第1項)
年次有給休暇中の賃金(労基法第39条第9項)
未成年者の賃金請求権(労基法第59条)
■退職手当:5年(労働協約、就業規則によってあらかじめ支給条件が明確にされている場合のみ)
退職手当(労基法第24条)
■災害補償:2年
療養補償(労基法第75条)
休業補償(労基法第76条)
障害補償(労基法第77条)
遺族補償(労基法第79条)
葬祭料(労基法第80条)
分割補償(労基法第82条)
■その他:2年
帰郷旅費(労基法第15条第3項、第64条)
退職時の証明(労基法第22条)
金品の返還(賃金を除く、労基法第23条)
年次有給休暇請求権(労基法第39条)